転職エージェントは「就職先を紹介してくれる会社」とだけ考えている人は、損をしているかもしれません。
「転職市場」というマーケット化した場において、求職者はリンゴや車と同じ商品。商品として「いかに売れるか?」が重要ポイントです。
転職市場において売れる人材は、なにも持ち前のスキルや経験値だけを武器にしているわけではありません。それはいくら高性能な車でも「売り方を間違えれば」まったく売れないのと同じです。
転職エージェントを賢く使っている人たちは、自分でも気が付いていない「潜在的価値」を見出して転職に活かしています。
今回は転職エージェントを利用する3つの段階である【登録】【相談】【面接】に分け、それぞれのステージでの「賢い使い方」をレクチャーします。
転職エージェントが紹介しやすい人材とは?
転職エージェントに登録する前に、ひとつ大事な質問をします。
転職エージェントが「この人は企業に紹介したい!」と思うのは、どんな人でしょうか?
このことが理解できるとこれから説明する「転職エージェントの賢い使い方」が、砂に水が浸み込むようにスッと理解できるようになります。
答えは「売れる人材」です。
「人を売る」という表現を使うと誤解を与えるかもしれませんが、転職エージェントにとって私たち求職者は「商品」です。
このことは転職エージェントのビジネスモデルを知ると理解しやすいです。
転職エージェントは求人依頼のあった企業に私たち求職者を紹介し、入社が決まると「成功報酬」を受け取ることで運営しています(下図)。
例えばあなたが商店主として、次の2つの物を渡されたらどちらを売れると思いますか?
- 青森県産の美味しいリンゴ
- その辺で拾った石コロ
もちろん「リンゴ」ですね。理由は簡単で「需要があるから」です。
転職エージェントに「この人を企業に紹介したい!」と思わせるためには、私たちは「売れるリンゴ」にならなければいけません。
そして売れるために知っておかなければならないのが、転職エージェントの賢い使い方です。
転職エージェントは間違いなく転職に有利なサービスですが、実は多くの人が活用方法を間違っているために「損」をしているんです。
転職エージェントの賢い使い方を学び、他の求職者と差別化を図ることで有利に転職活動を始めましょう!
ここからは転職エージェントの賢い使い方を、登録→相談→面接の段階順に説明していきます。
転職エージェントの賢い使い方【登録】
転職エージェントの利用を始めるには、まずweb上で登録が必要です。
登録の際の賢い使い方は、以下の通りです。
- 複数登録する
- 必ずしも転職する必要はない
ひとつずつ解説します。
複数登録する
「転職エージェントは一社だけ」という方が意外と多いのですが、間違いなく複数登録する方が有利です。
その理由は以下の3つです。
- 転職エージェントによって得意・不得意がある
- 転職エージェントが合わないときのリスクヘッジ
- 転職候補の漏れを減らす
世の中には多くの転職エージェントが存在しますが、会社によって得意な分野とそうでないものがあります。中にはITや介護に特化した企業も存在し「得意な地域」なんてものもあります。
複数の転職エージェントに登録をしておくことで、得意・不得意をカバーできます。
また登録した転職エージェントが合わないなんてことが案外起こります。そんなときに多くの選択肢を持っておくことでリスク回避が可能です。
そして複数登録をする最大のメリットが、転職の候補企業の漏れを最大限減らせることです。一社の転職エージェントが全ての求人企業をカバーしているわけでは勿論ないので、複数登録しておくことで漏れを最小限に防げます。
登録がまだの人は、当サイトでおすすめしている下の三社はとりあえず登録しておきましょう。
【当サイトおすすめの転職エージェントTOP3】 ・リクルートエージェント→公式URL:https://www.r-agent.com/ ・パソナキャリア→公式URL:https://www.pasonacareer.jp/ ・doda→公式URL:https://doda.jp/ |
なお転職エージェントを複数登録するのは「気が引ける」「悪い感じがする」という方もいますが、決してそんなことはありません。
複数登録は転職を成功させるためには「当たり前」のことで、賢く使っている人は皆そうしています。
担当のキャリアアドバイザーに複数登録している旨を正直に話せばOKです。
必ずしも転職する必要はない
転職エージェントに登録をしたら絶対に転職をしなければいけないのか?という質問をよく見かけますが、必ずしもそうではありません。
当サイトでおすすめの転職エージェントとして紹介している「リクルートエージェント」は、「相談だけでも利用していいですか?」という質問に対して「相談だけでも利用できます」との回答に添えて、以下のように述べています。
転職エージェントでは、“転職活動”のバックアップをしています。すぐに転職する予定がなくても、現在の不安や危機感について、経験豊富なキャリアアドバイザーに相談することで、新たな選択肢や隠れた可能性を見出せるかもしれません。また、長期的なキャリアプランの相談には、採用動向や経験・スキルを考慮して、プロの視点でキャリアプランを提案しています。
なお「転職を強くすすめられるのでは?」と心配する必要はありません。今後のキャリアに不安を感じたり、現在の仕事を続けるべきか迷っていたりという場合は、気軽に問い合わせてみることをおすすめします。
(引用元:リクルートエージェント「転職準備に関するQ&A~転職エージェントに、相談だけしてもよいのでしょうか?~」)
転職エージェントは転職先を紹介してくれる以外に「キャリア相談」も行なっています。
この場合転職エージェントに報酬は発生せず一時的に「タダ働き」になりますが、同時に将来の「見込み客」の獲得につながるので相談だけでも喜んで受けてくれるのです。
転職エージェントの賢い使い方【相談】
次に転職エージェントとの相談(面談)での賢い使い方です。
- 事前の自己分析や適職診断は受けておくこと
- 活動内容は全て共有する
- 情報収集すべきことを整理しておく
- 「人と人」の付き合いであることを忘れない
詳しく見ていきますね。
事前の自己分析や適職診断は受けておく
転職エージェントと面談を行う前にぜひやっておいて欲しいのが、自己分析と適職診断です。
自分の性格や強みというのは主観では掴みにくく、「自己分析が苦手」という人が多いのはそのためです。
転職エージェントへの相談前に自己分析や適職診断を受けておくことで、強みや弱点、適正、やりたい仕事などが明るみになっているので面談がスムーズに進みます。
転職の活動内容は全て共有する
転職エージェントを利用する際には、現在または直近の転職活動の情報は伝えるようにして下さい。
- 直接応募している企業がある
- 他の転職エージェントに登録している
- 他の転職エージェントから紹介された企業がある
- 既に落ちた企業
他にも例がありそうですが、重複応募などのトラブル回避のためにも重要です。
情報収集すべきことを整理しておく
転職は情報収集がキモですが、闇雲に行なっても上手く行きません。
就職四季報や企業のホームページで公開されている情報ならば自分で集めることはできます。
しかし企業の雰囲気や社内環境などは、実際にその企業に出入りしている転職エージェントにしかわかりません。こうした情報は転職する上で大変重要なので、担当のキャリアアドバイザーに情報収集をお願いしましょう。
また給与面や福利厚生に関することなど面接で聞きにくいことは、転職エージェントに確認するのがおすすめです。
面談の前には「自分で集めるべき情報」と「転職エージェントに聞きたい情報」を整理しておくことです。
「人と人」の付き合いであることを忘れない
転職エージェントを利用する際は、社会人としてのマナーや礼節をわきまえるのが最低条件です。
あくまで人と人との付き合いなので「自分は客だ」なんて横柄な態度は絶対にNGです。
転職エージェントの賢い使い方【面接】
面接の際にも転職エージェントは賢く使いましょう。
ポイントは以下の通りです。
- 面接対策をお願いする
- 待遇面や福利厚生の確認
- 面接終了後のフォローを入れてもらう
- 面接のフィードバックをお願いする
面接対策をお願いする
模擬面接などの「面接対策」はどの転職エージェントにも含まれるサービスです。
しかし「サービスに含まれているから」と待ちの姿勢ではなかなか順番が回ってこないことも。
転職エージェントに所属するキャリアアドバイザーは一人で数十人もの求職者を抱えていることはザラで、基本的に「忙しい」からです。
自分から積極的に面接対策をお願いして優先順位を上げてもらいましょう。
待遇面や福利厚生の確認
給与などの待遇面や福利厚生の中身を面接の場で確認するのはちょっとハードルが高いですよね。
触れてはいけない内容ではないのですが、質問内容がこればかりに偏ると「待遇ばかり気にする人かも?」とマイナスイメージになりかねません。
面接で聞きにくい待遇面などは転職エージェントから企業に確認してもらいましょう。
面接終了後にフォローを入れてもらう
面接で100%の力を発揮できれば問題ないのですが、緊張などの影響で伝え方が悪かったり反省する点が出てくるでしょう。
面接が終了したら即キャリアアドバイザーに連絡し、伝えきれなかったことや誤解を招いた恐れがある内容を話しましょう。
面接後には企業の採用担当者とキャリアアドバイザーは面談を行い、面接の内容や感触について話をするので、情報が共有できていればその場でフォローを入れてもらうことができます。
面接のフィードバックをお願いする
企業側と転職エージェントとの面談で、「あなたの面接はどうだったか?」という評価がわかります。
結果として不採用だったとしても面接の内容はフィードバックしてもらい、次の面接に活かさなければ意味がありません。
フィードバックには「評価」以外にも「改善策を考える」という目的があり、PDCAの繰り返しが転職を成功へと導きます。
まとめ
「転職エージェントの賢い使い方」について【登録】【相談】【面接】という3つのステージに分けてお話をしました。
最後に今日ご紹介したポイントを全てまとめます。(赤字は特に重要)
- 転職エージェントは複数登録する
- 相談だけの利用もOK
- 自己分析や適職診断は事前に実施しておく
- 活動内容は全て共有する
- 情報収集すべきことを整理しておく
- 「人と人」の付き合いであることを忘れない
- 面接対策を積極的にお願いする
- 待遇面など聞きにくい内容は転職エージェントにお願いする
- 面接終了後のフォローを入れてもらう
- 面接のフィードバックをお願いする
今回挙げたポイントのほとんどは、自分の「商品としての価値」をいかに高く見てもらうかにつながる基本行動です。
ネットの普及によりマーケット化した「転職市場」において、人は「市場価値」という物差しで測られるのを避けて通ることはできません。
転職エージェントは自分の市場価値を確かめるのに最適な方法であると同時に、賢く利用する人は自分でも気が付いていない「潜在的な市場価値」を手に入れて転職を有利に進めることができるのです。
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