「派遣社員は正社員として登用される道もあるから、おすすめです。」
こんな誘い文句を聞いたことがありませんか?
結論から言うと、派遣社員から正社員登用される確率は、ごく僅かです。
確率の低い「夢」を追って、あえて待遇の悪い派遣社員の道を選ぶことはおすすめしません。
▷この記事でお話すること
- 派遣社員から正社員登用は「いばらの道」である理由
- 派遣社員のデメリット
- 安定した雇用を見つける方法
派遣社員はやめとけ!正社員登用までは「いばらの道」
派遣社員をまじめに続けていれば、いつか正社員に登用される。
厳しいことを言いますが、その考えは甘いです。
派遣社員から正社員登用への道は確かに存在しますが、実際ほとんどの派遣社員は正社員登用されずに「契約打ち切り」になっているのが現実です。
正社員登用される場合、たまたま派遣先の企業が正社員を募集していて、タイミングよく正社員になれたというケースがほとんど。企業側が積極的に「派遣→正社員登用」と実施しているケースは、ほとんどありません。
派遣が正社員登用されるまでに何年かかる?
派遣社員の「3年ルール」
2015年に改正された「派遣業法」により、派遣労働者は「同じ会社・部署内では3年以上働けない」とルールができました。
このルールは通称「派遣社員の3年ルール」と呼ばれます。
このルールによると4年目から同一企業で働く場合、部署を変えるか雇用形態を変える必要があります。
「そしたら4年目から正社員になれるの?」という期待を抱く人がいるかもしれませんが、それも甘い考え方です。
「派遣のまま同じ会社の同じ部署」では働けないというわけですから、企業側には様々な「選択肢」が生まれます。
- 派遣契約のまま部署を変える
- 派遣契約を打ち切る(通称「派遣切り」)
- 正社員に登用する
- 契約社員へ切り替える
この中でもっとも多いのが1か2のどちらかです。
1ならこれまでと同じく、派遣社員のままです。
もしも「派遣契約終了」という形になった場合、派遣会社は新たな派遣先を用意する必要があります。
次に多いのが3の「契約社員」です。いきなり正社員としての採用は稀です。
なぜ企業があえて契約社員を選ぶかというと、「いつでも人員整理ができるから」です。
契約社員ならば「契約を更新しなければ」いつでもその社員を切れます。正社員では、なかなかそうはいきませんよね?
契約社員の「5年ルール」
うまく契約を5年以上更新し続けると、ようやく正社員への扉が開きます。
これは通称「契約社員の5年ルール」と呼ばれます。
2013年の労働契約法改正により、契約社員が5年以上更新し続けると企業は「契約期間の定めのない契約(=無期限契約)に切り替えなければならない」というルールです。テレビやネットニュースで見聞きしたことがあるという方も多いと思います。
これでようやく正社員への扉が開かれます。
派遣3年、契約5年、合計8年!
この流れだと、派遣として3年勤め、契約社員として何とか更新を5年続け、8年かけてようやく正社員の道を掴み取ることができます。
20歳なら、8年後は28歳。30歳なら、38歳です。
では35歳や40歳は…?
これはあくまで「最大で8年かかる」というモデルケースなので、人によっては派遣1年目から正社員になれたり、派遣終了後すぐに正社員になれたという人もいるでしょう。
とはいえ、よほど頑張って会社側にアピールをしないことには短期間で正社員に登用されることは難しく、8年という長い年月がかかることは覚悟しておく必要があります。
その8年間は、常に「派遣切り」「契約打ち切り」という危険にさらされ続けます。
まさに「いばらの道」と言えるでしょう。
せっかく頑張って8年目に契約を打ち切られたら?
8年後の自分の年齢を考えて、再就職先がすんなり見つかるでしょうか?
派遣社員はデメリットが多いからやめとけ!
正社員登用を考えた場合、派遣社員経由ではかなりの狭き門です。
また派遣社員としての道中にも、多くのデメリットがあります。
派遣期間に上限がある
先ほど触れた「派遣の3年ルール」のことです。
派遣労働者が同じ派遣先で働けるのは、上限3年です。(法律!)
3年を超える場合、派遣元(派遣会社)は次の3つのいずれかの対応をしなければいけません。
- 派遣先へ「直接雇用」を依頼する
- 新たな派遣先企業を提供する
- 派遣元で「無期雇用」する
ほとんどの場合、2が選択されますね。この場合、別の会社で働くことになります。
せっかく同一企業で3年働いた実績がすべてリセットされます。
働いて磨いたスキルを次の職場で活かせればいいのですが、次の派遣先で100%マッチングされるという保証はありません。
いずれにせよ、「不安定な雇用形態」であることに変わりはありません。
正社員と待遇が異なる
派遣社員は基本的に正社員とは待遇が違います。
正社員は企業から直接雇用されていますが、派遣社員を雇用しているのは「派遣会社」です。待遇が違って当然ですね。
派遣社員は正社員と違いボーナスや昇給がないため、同じ職場でも給与格差が生じます。
業務範囲が限られている
派遣で仕事をしたことのある人ならわかると思いますが、派遣社員の業務範囲は限られています。
企業では重要なプロジェクトを徐々に任されていくことでスキルアップを図りますが、派遣社員にそのような仕事が回ってくることはほとんどありません。
正社員に比べて責任も軽く、スキル上昇のスピードは遅くなります。
月によって給料が少なくなる
時給制の派遣社員の場合、出勤日数が減ると給料にダイレクトに反映します。
- 6月(ゴールデンウィークの影響)
- 9月(夏季休暇の影響)
- 1月・2月(年末年始の影響)
上記では祝祭日などの影響で出勤日が少なくなり、比例して給料も減る傾向にあります。
派遣社員をやめて安定した労働環境を得るために必要なこと
とはいえ、派遣社員にもメリットはあります。
- 仕事の自由度が高い
- プライベートが充実する
- いろいろな企業で多くの経験ができる
働き方は個人の自由ですし、派遣という働き方がライフスタイルにマッチしているという方も少ないくないでしょう。
中にはドラマ「ハケンの品格」のように、バリバリの「スーパー派遣」の人もいつかもしれません。
しかし正社員登用を目指すためならば、あえて危険が多く不安定な「派遣社員」を選ぶことはおすすめしません。
その理由は、以下の通り。
- 時間がかかりすぎる(最大8年!)
- 雇用形態が不安定
正社員を目指すのであれば、あえて派遣経由という回りくどいことをせず、最初から正社員で雇用を探す方が手っ取り早いです。
派遣会社から正社員を目指す人の中には、「未経験だから派遣の方が採用されやすい」とお考えの方もいるでしょう。
確かに派遣社員は「未経験分野」での採用の門は広いです。
しかし、未経験で正社員は無理なのかと言えば、決して違います。
未経験でも正社員を採用している企業は山ほどあります。もしかすると「リサーチ不足」なのかも知れませんね。
転職サイトには多くの企業が採用を行なっているので、一度チェックしてみることをおすすめします。
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